理論をモデル化して伝えることが大事 2025.08.01
こんにちは。職員のTです。
私は本(漫画を含む)を読むのが好きで、依存症の勉強のために関連する本を読むこともあります。
しかし依存症と直接には関係しない本から、依存症や支援の仕方について気づきを得ることがあります。
例えば『平成敗残兵☆すみれちゃん』(里見U著、講談社)という漫画では、主人公のすみれちゃんがパチンコをする様子から、パチンコで熱くなっている人の心境を窺い知ることができます。
私はパチンコをしたことが無いので、この辺のリアリティは(リアルではないかもしれませんが)、いわゆる依存症の本を読むだけでは分からない部分です。
他に最近読んでいる本で『サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」』(デイヴィッド・サンプター著、千葉敏生 訳、光文社)があります。
サッカーというスポーツの中で起きるあらゆる事象を、数学を用いて分析していくという趣旨の本です。
この本の序文に書かれていることに、私は依存症の支援をする上でのヒントを感じました。
数学は純粋な理論の学問だと思われがちですが(そういう数学も確かにある)、実際には世の中で起きているあらゆる現象を理解するための、ある観点からの有効な手段なのです。
現実の事象に数学を当てはめて考えることを「数学的モデル」と呼ぶようです。
この数学的モデルは、サッカーを含めて現実に起きるありとあらゆる現象に適用できるし、そのようにして現実を物語るようにならなければ、数式に意味はないと筆者は主張します。
何かを考えたり行動したりするときに理論を持つことは大事ですが、理論だけが全てではないのです。
依存症の支援で言えば、どうすれば回復に向かうことができるか、ということについて、ある程度の理論化は可能です。
しかしその理論を理論のまま利用者様に伝えても、うまく伝わらなかったり、「言ってることは分かるんだけどねー」という感じで実感を持てなかったりすることが起きます。
そこで必要となるのが理論のモデル化であり、回復のために必要な理論を現実の具体的な事象に当てはめて考えることです。
例えば映画が好きな利用者様がいたとしたら、映画の中の登場人物が主張していることをテーマにしてミーティングする、といった工夫が求められるのでしょう。
我々は現実の中を生きているのであり、理論だけでものを言っていても、結局は現実という圧倒的な力には敵わないのです。
理論をモデル化して(現実世界に当てはめて)伝えることが、依存症の支援をするうえでも、生活にしっかり根を張って生きていくうえでも大切なのだと、この本を読んで考えました。
このように本や漫画、映画などから学べることは沢山あるので、それが楽しいなと思う日々を過ごしています。